FX通貨の組み合わせと資金効率について

ここでは、FX通貨の組み合わせと資金効率について に関するFX記事を掲載しています。
--/--/--(--) --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2006/12/21(木) 23:36
FXの通貨ペアの組み合わせについて質問を受ける事があります。
ひとつは、こんな質問でした。

豪ドル/米ドル(AUDUSD)と豪ドル/円(AUDJPY)は、チャートが似ているため
次のようなポジションを建てるとスワップ金利も受け取れてリスクヘッジになるのではないか?

 1)豪ドル/米ドル(AUDUSD) ショート
 2)豪ドル/円(AUDJPY)  ロング

つまり値動きの似ている2つのペアで反対の売買をすることでヘッジをねらいます。これは考え方としては正しいです。
しかしこのケースでは豪ドルで売りと買いの両方のポジションを建てていることになるため、どこか変な感じもします。この組み合わせが有効なのかどうかをよく考えてみます。

まず、チャートが似ているという1)2)を実際に見てみます。
チャートの期間は、1年、3年、6年、10年です。

2ペア比較チャート1年

これは2006年のAUD/ドル、AUD/円のチャートです。形状はとてもよく似ていますね。相関係数も0.71と高めです。

2ペア比較チャート1年

これは2004年~2006年のものです。2005年の後半でやや形が崩れています。相関係数は0.43と低くなりました。

2ペア比較チャート1年

これは2001年~2006年のものです。そっくりというわけではありませんが全体で見るとトレンドは似ています。相関係数も0.94と高めです。

2ペア比較チャート1年

そしてこれが1997年~2006年のものです。やはり全体のトレンドは似ています。相関係数も0.860と高いですね。
このようにトレンドが一致していると形状が違っていても相関係数は高くなります。


次に重要な点があります。AUD/USDショートとAUD/JPYロングを
同数ポジションをもったときはAUDの売り買いを同時に建てることになります。これはどのような意味があるのでしょうか。

 1) AUDUSD ショート = USD買い、AUD売り
 2) AUDJPY ロング  = JPY売り、AUD買い

1)と2)でポジション数量が同じのとき、AUDは売りと買いが同数あるため帳消しになり、USD買いとJPY売りだけが残ります。
つまり、実質的にはUSDJPYのロングとほぼ同じになります。

仮に次のようなレートだったとします。

 AUDUSD = 0.784 [USD]
 AUDJPY = 91 [JPY]
 USDJPY = 116 [JPY]

1), 2)でそれぞれ1万通貨のポジションがあると
ポジションの価値は次のようになります。

 1) -10,000[AUD] = 7,840 [USD]
 2) +10,000[AUD] = 910,000 [JPY]

このポジションを合算すると、AUDの価値は差し引きゼロになり

 3) 7,840[USD] = 910,000[JPY]

と等しいことがわかります。一方で、USDJPYの1万通貨は

 4) 10,000[USD] = 1,160,000 [JPY]

です。3) と 4)を比べると、3)の方が通貨数は少ないものの
USD買いJPY売りで同じです。つまり、1), 2)を組み合わせることで
7840ドルのUSDJPYのロングポジションと同じ
ことになります。

直感的に理解するには、次のような数式にします。

 AUD/USD(-) × AUD/JPY(+) = USD/AUD(+) × AUD/JPY(+) = USD/JPY(+)

という関係です。()内の符号はプラスはロング、マイナスはショートです。
ただし、1) と 2)でポジション数が違うときは、単純にこのような関係には
なりません。

この結果をどう考えればよいのでしょうか?

1)を1万通貨ショート、2)を1万通貨ロングすることで
ドル円ロングとほぼ同じになってしまいました。

証拠金は、1), 2)それぞれのポジション毎に必要なので単純にコストが2倍です。
レートのスプレッドと、スワップポイントのスプレッドも2重に発生して不利です。
結局この組み合わせは、投資効率が悪いといえます。


あまり意味がないようにも思えますが、次のような場面では有効かも知れません。

 A) 擬似的な両建て(利益確定したい時)
  AUDJPYのロングポジションがあり、そろそろ高値圏だと思われるため
  利益確定をしたいとします。しかしスワップ金利がなくなるのは避けたいとき
  相関の強いAUDUSDをショートすることで擬似的な両建てとなります。
  このようにすると、AUDJPYが下落しても発生した評価益はほぼ確保されます
  (相関関係が続く限り)。さらにスワップ金利も入ってきます。
  AUDJPYが上昇すると、評価益はそれ以上増えませんが、スワップ金利は
  やはり確保できます。
  
 B) 擬似的な両建て(損失を限定したい時)
  AUDJPYのロングポジションがあり、評価損が拡大しているとき
  これ以上損を増やしたくないけど、スワップもあきらめられない
  というときは、AUDUSDのショートで擬似的な両建てをします。
  これによって、AUDJPYがどちらに動いても評価損はほぼ固定されます。
  スワップ金利も継続して入手できます。
  
 C) 通貨の分散
  この例はAUDUSDショートと、AUDJPYロングを同じ枚数にしたため
  AUDが帳消しになりUSDJPYと同等のポジションとなりました。
  しかし通貨数を異なるように配分すれば、AUD, USD, JPYそれぞれ
  について買いと売りで通貨分散の効果があります。

A),B)とも疑似両建のためには証拠金が必要です。このポジションが
本当に効果的なのかはよく見極める必要があります。

C)は間違いではありませんが、複数ペアでポートフォリオを組んでいて
ある通貨について売りと買いの反対のポジションが存在するときは
一般的には資金効率が悪くなる
ということを意識しておいた方が良さそうです。

AUD, USD, JPYの3つの通貨について円を売ってAUDとUSDを買うという
分散投資をするなら
素直にAUDJPY、USDJPYロングの方が資金効率は良いことになるでしょう。

デイトレードやスイングトレードのような比較的短期的なトレードでは
このようなことをあまり意識しなくても問題にならないと思いますが
スワップ派は、一度保持したポジションは基本的にそのまま持ち続ける
ので分散の効果や資金効率をよく考慮するのが重要です。
自分は、どの通貨を買いたいのか、売りたいのか。ここをよく
考えてからペアを選ぶのも良い方法だと思います。

通貨分散はスワップ派の基本戦術です。
スワップ派のポートフォリオを参考にするならランキングサイトで!
コメント
この記事へのコメント
いつも為になる記事ですね。

年末の大相場が来なくて
稼げませんわ。
2006/12/22(金) 01:22 | URL | 雪音姉(ゆきねえ) #-[ 編集]
今年も?
こんばんは。
最近はクロス円が堅調なので、かなり稼がせてもらってます。
昨年暮れのような急落には気をつけたいところですが。
2006/12/23(土) 20:20 | URL | 相場先読み@FX投資 #-[ 編集]
こんばんは

クロス円堅調ですね~
急落がいつくるかわかりませんが
スワップ派としては今から新たに
建てるポジションもなく、ひとまず様子見です。
2006/12/23(土) 23:10 | URL | はやぶさ #-[ 編集]
スワップのみで稼ぐ場合
こんにちは

この記事、とても参考なりました。

済みません一つ質問させて下さい。

スワップのみで稼ぐ場合、最も手間のかからない良い投資方法としては、今回の記事で紹介されたような

1)豪ドル/米ドル(AUDUSD) ショート
2)豪ドル/円(AUDJPY)  ロング

この上記のような通貨(ショートでもスワップがプラス)で、
永遠に相関関係が続くという前提条件があるならば、
為替差評価がプラスマイナスでゼロに近くなり相殺されるため、
手間がかからずラクに永遠にスワップで稼ぐことが可能ということになりますでしょうか?
2006/12/24(日) 16:58 | URL | tomo #/0qs603A[ 編集]
tomoさん、相関係数が変わらなければ確かにそのようになります。現実には相関係数も変動しますね。
この例のように、同じ通貨ペアの売りと買いを同時に建てるのは資金効率が良くないという考えもあります。

つまりポジションを建てるくらいなら証拠金の余力にしておいた方が良いということです。これもいずれ比較シミュレーションなどで検討してみようと思います。

#ちょっとわかりにくかったので本文を訂正しました。
2006/12/25(月) 04:38 | URL | はやぶさ #-[ 編集]
はやぶささん

ご回答と訂正ありがとうございました。

記事、これからも楽しみにしております。
2006/12/25(月) 21:45 | URL | tomo #/0qs603A[ 編集]
初めまして
ちょっと別のサイトから誘導されて去年のブログに迷い込んできました。

AUD/USD(-) × AUD/JPY(+) = USD/AUD(+) × AUD/JPY(+) = USD/JPY(+)

で、この計算式なんですけど、わたしはむしろ、足し算かなって思います。

AUD/USDを日本円換算でa円分ショート、AUD/JPYをb円分ロングとすると、(+はロング、-はショート、かっこ内は金額)

AUD(-a)+USD(+a) + AUD(+b)+JPY(-b)
=AUD(-a+b) + USD(+a) + JPY(-b)

つまり、AUDは、-a+b円分ロング(a>bなら、a-b円分ショート)、USDはa円分ロング、JPYはb円分ショートとなります。
a=bのとき、AUD(0)+USD(+a)+JPY(-a)となり、USD/JPYのロング(日本円換算でa円分)と等しくなります。

長々と失礼いたしました。
2007/01/10(水) 17:34 | URL | coolie1997 #-[ 編集]
coolie1997 さん
鋭いコメントありがとうございます。

この計算式が正しいですね。私もどうもしっくりこないと思っていたんですが
こういう風に考えればよかったんですね。すごくすっきりしました。
丁寧な解説もいただき、どうもありがとうございます。
2007/01/10(水) 17:59 | URL | はやぶさ #-[ 編集]
tomoさんの質問に一つ追加してお聞きしたいのですが・・
はやぶささん、初めまして。
上記のtomoさんの質問に一つ追加で質問させてください。

上記のようなペアを持つことは、資金効率の面でマイナスとおっしゃられていましたが、例えば、永遠に相関関係が続くとの前提条件は同じとしたときに、レバレッジの高い業者にて運用した場合には(相関関係が崩れた場合は危ないですが・・)、資金効率の面でのマイナス点を幾分補えますでしょうか。

個人的にはボラティリティの低いEURCHFのペアを擬似的にEURJPYロングとCHFJPYショートで組んでみようかと思っているのですが、はやぶささんの考えをご教授いただけませんでしょうか。
2007/02/01(木) 20:00 | URL | はせ #-[ 編集]
はせさん、はじめまして。

そうですね、相関関係が変わらないなら、最大レバレッジの高い業者で通用すると思います。

EURJPY+とCHFJPY-の組み合わせは枚数の調整とか売買タイミングをずらすなどでEURCHFだけに絞るよりも選択の幅は広がりますし。具体的な数値を使った比較検討をやったほうが良さそうです。これはそのうち記事にしてみましょうかね。
2007/02/02(金) 01:02 | URL | はやぶさ #-[ 編集]
はやぶささん、ご回答どうもありがとうございます。 最近自分の組んだポートフォリオが見事に破綻してしまい、又あまりFXの勉強をする時間が今ないことから、とりあえず、リターンよりもリスクヘッジを優先して考えてしまっているこの頃です。でもこの安易な考えで投資をすると、リスクヘッジしてるつもりだけで、また破綻してしまいそうなので・・・、はやぶささんのサイトを始め、もう少しゆっくり時間をかけて勉強していこうと思います。これからも記事のほうを楽しみにしています。
2007/02/02(金) 22:16 | URL | はせ #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:  編集・削除用
非公開: はやぶさだけにコメント表示を許可
※相互リンク依頼は専用フォームをご利用下さい
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://hayabu3.blog27.fc2.com/tb.php/130-507e54ae
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。